電車の中で

会社からの帰り道、電車で席に座ってたら、いきなり前のおばちゃんに話しかけられた。
「あそこに目の見えない人がいるから、席を譲ってくれませんか?」
自分の座っているところからは見えなかったけど、たしかに盲導犬を連れた人がいた。そのとき座っていたのはシルバーシートだったけど、僕はシルバーシートだろうと無かろうと、席を譲るべき人には譲るべきだし、譲るべきでない人には譲るべきではないと思っているので、その人をみて譲るべきか考えて、混んでいたし犬いるし譲ったほうがよかろうと思って譲ることにした。
それはいいんだけど、そのおばちゃんは、どうもその目の見えない人とは関係のない人なんだろうけど、譲り際、僕に向かって「ありがとう」とお礼を言った。
お前にお礼を言われる筋合いは無いぞ、と思った。
同じ違和感は、以前インドネシア地震のときに募金活動をしていたおばちゃんが募金をしてくれ、と近づいてきたときに、僕はチャリティライブなんかに参加していたし、こういった個人の募金活動は信頼していないので、「別の形で協力してますから」と断った。そしたらそのおばちゃんが「ありがとうございます」といった。そのときも、お前にお礼を言われる筋合いはないと思った。
僕は、助けが必要と思われる人のためにやっているわけで、お礼を言われることで、無関係なその人にまで何かしてあげたわけではないんだよ。
そういう人たちは、お礼を言うことで、自分もいいことしているんだ、と再確認しているようで非常にキモい。偽善者っぷりが鼻につく。まあ、そもそも全ての善は自己満足のための偽善だと思っているから偽善者であることはいいんだけれど、そこまでそれを露出されるのはすごくいやな気がした。
別に席を譲ること自体はいやじゃなかったんだけど、「ありがとう」を言われたことで、席を譲ったことを心から後悔した。